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 「ドラえもん!いつものようになんか出してちょちょっとたすけてよ。」
 のび太はいつもの調子で自分の部屋のドアを開けると、そこにはドラえもんだけでなくセワシもいた。
 セワシはのび太に言う。「じつはね、そろそろドラえもんを……。」
「まった!ぼくからあとでいう」とセワシの言葉を制するドラえもん。
セワシは「きっとだぜ」というセリフを残して、タイムマシンで未来へ帰っていった。

 妙にしょんぼりした表情のドラえもん。のび太は「どうしたんだい」と一応は気遣うが、いつもの調子で「友だちとあしたサイクリングに行くこ
とになったんだ。実はぼく自転車にのれないの。なんとかしてよ」と甘えると、ドラえもんは大声で怒鳴りだした。

「どうにもならないね! どうしてそう人にばかりたよるんだっ! ぐずぐずいってるひまに、練習したらどうだっ!!」

 びっくりして、慌てて部屋を飛び出すのび太。
「へんなの。ばかにきげんが悪いや。だいじょうぶ。いざとなればきっとなんとかしてくれるさ。いつもそうなんだ。」
そう呟くのび太を陰で見ていたドラえもんは「まるっきりぼくにたよってる。やっぱりこれじゃだめだ。」とのび太に対して不安な気持ちを抱く。

「よし!!心をおににしていおう!!」

 そう決意したドラえもんはのび太のところへ走るが、のび太も同時にドラ焼きを持ってドラえもんのところへ走り込んできた。
ドラえもんの表情は一転して「どらやき!!」とよだれをたらす。
のび太「きみ、すきだろ。ぼくのぶんも食べていいよ。」
ドラえもん「わるいなあ」
のび太「いやいや、ふだんおせわになっているからおやつくらい。もし、この世にきみがいなかったらと思うとぞっとするよ。とてもぼくなんか生
きていけないな。」

 それを聞き「と、とてもいえない、みらいの世界へ帰るなんて…。」と陰で涙を流すドラえもん。ドラえもんがそばにいると、のび太は頼り癖が
ついてダメな人間になってしまう。それで、ドラえもんは未来の世界へ帰ることになったのだ。
 そこでドラえもんはセワシと相談して、ある策略を練る。ドラえもんが壊れそうなふりをして、修理のために未来の世界へ帰るという事にすれ
ば、のび太も納得するのではないか、と。

 早速、「くるしい、死にそうだあ!!」と壊れたふりをするドラえもん。
それを見たのび太は「ドラえもん、こわれちゃいやだ。」とドラえもんに泣きつく。そしてセワシに「みらいへつれてってなんとかなおしてやって
!!」とお願いした。
そこでドラえもんは「だけどぼくがいっちゃったらこまるんじゃない?」とのび太に言うと、のび太は言った。
「こまるにきまってらい、でもきみが元気になるためならどんながまんでもするよ。」

 そののび太の言葉を聞いたドラえもんは感激で大泣きし、のび太に「こわれそうというのはうそだ」と打ち明ける。のび太に自分の力でなんでも
できる強い人になってほしい、それで未来の世界に帰るんだということを、正直にのび太に説明した。

 するとのび太は、「わかった。ほんとにそのとおりだと思う。やってみるよ。ぼくひとりで、自信はないけどがんばるよ」とドラえもんに言っ
た。ドラえもんがいなくても頑張るという決意を見せたのだ。

のび太「きみのことわすれないよ。」
ドラえもん「ぼ、ぼくだって……ククク。」
セワシ「さようならあ。」

 ドラえもんとセワシは未来の世界へ帰っていった。

 ドラえもんが帰った後、のび太は自転車の練習をはじめる。フラフラした運転に何度も転び、アザだらけの姿にのび太のママは「むりしないでや
めたら?」と言うがのび太は言った。
「だ、だいじょうぶ……イテテテ。ドラえもんとやくそくしたんだ。」

 その様子を未来の世界から見守り、応援するドラえもんとセワシ。
「がんばれ、がんばれ!タイムテレビでおうえんしてるぞ!!」

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